以前別の記事でも書きましたが(世間は知らない細川紙がユネスコ無形文化遺産に選ばれた理由)、石州和紙(石州半紙)、美濃紙、細川紙のように比較的マイナーな和紙が登録され、歴史の古い越前和紙、土佐和紙など有名な産地の和紙が記載されなかったのか、ということの補足です。

ユネスコ無形文化遺産は単に価値があることを示す「賞賛」ではないから

世界遺産と同じく、無形文化遺産も、素晴らしい遺産ですよ、と知らしめることが目的ではなく、あくまで保護や継承が目的です。

歴史があるから、素晴らしいから、独自性があるから、というだけで記載されるものではありません。

ユネスコに「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表(代表一覧表)」だけでなく、「緊急に保護する必要がある無形文化遺産の一覧表(緊急保護一覧表)」という表もあることから保護を目的としていることがわかるかと思います。

しかし、和紙に限らず、和食が登録された時もテレビなどでは、「世界的な機関に認められた日本の文化すごい」という言葉だけが出てきて、その危うさ、保護の必要性はアピールされてなかったように感じます。

登録されていないものは、逆にうまくいっているという見方もできる

歴史の古い越前和紙、土佐和紙などは、知名度もあり、全国的にもそのブランド名で取り扱われている商品をよく見られます。

その半面、今回登録された3つの和紙は、そこまで一般市場で見かけることは無かったのではないでしょうか。登録後にデパートなどでも見かけることがすごい増えたという感じもしません。

ありがとうポストでは、細川紙の産地である埼玉県比企郡小川町の和紙工房とのやりとりを行い、見てきていますが他の有名産地と比べ、ブランド力、商品企画力の無さを感じました。

商品も町内、近隣の工芸館、都内などの物産展等で買える以外はほとんど出回っていません。

和紙工房の卸先も、問屋がほとんどで、そこでは単なる和紙として扱われ、小川和紙などの名前は使われないまま商品化されています。

ブランド力以外にも、地域としても他に特産品や仕事があったり、産地としても団結力が無かったり、そういう「危うさ」も条件として考えられたとすると、登録されていない有名産地の和紙はビジネスとしてうまく行っているし、今後も緊急の問題はないと判断されているのではないでしょうか。

ありがとうポストで用いられている「小川和紙」のスペシャルコンテンツ。
その伝統と技術に深くフォーカスし、紐解いています。