ありがとうポストの想い

そうだ、ユネスコで話題の小川町に行こう!

 お世話になった人に感謝の気持ちを伝えたいとき、ついメールで簡単に済ませてしまいがちです。だけど、メールだと社交辞令のようで味気ないし、かといって長々と謝辞を書き連ねるのもおこがましい気がしてしまうものです。そんなとき、日本にはとても良い文化があります。それが「お礼状」です。

 聞くところによると、できる営業マンにはお世話になった取引先にお礼状を送ることを習慣にしている人が多いそうです。中にはハガキと筆セットを持ち歩き、訪問直後にお礼状を送るという人もいるほど。メール全盛の時代だからこそ、そうしたひと手間が、相手を想っていることの証しとして大切になってくるという考えです。たしかに「ありがとう」のひと言もお礼状という形で受けとると、細やかな心づかいが感じられて好感が持てますよね。

ITなのに紙にこだわった

 お礼状を送ったほうがいいのはわかっているけれど、「字が汚くて……」という方もいらっしゃると思います。実はこのサービスを提案させていただく私自身がそうでした。字を書くことに慣れていない人は三日坊主になりかねませんし、地方だとハガキを買いに行ってポストに投函することが億劫かもしれません。そうした「ちょっと面倒」がお礼状や招待状を送らない理由になっているなら、印字や発送といった部分のみITサービスで効率化しようと当初は考えていました。しかし、それだけのサービスならすでに世の中に存在します。

 どうすればかつてないお礼状サービスを作ることができるか。どうすればもっと心のこもったものにできるか。悩みに悩みました。もらった人が嬉しくなるようなお礼状を考えていくうちに、「紙を残す」という発想から、とことん「紙にこだわる」という新たなコンセプトが見えてきました。

思いが伝わる紙・・・「和紙だ!」

 上質な紙といえば、やはり日本伝統の和紙です。全国各地の伝統的な和紙を調べていた2014年の秋、絶妙のタイミングで埼玉県小川町の細川紙がユネスコの無形文化遺産に記載されるというニュースが飛び込んできました。だけど、誇りある伝統産業の職人さんというと、頑固一徹といったイメージがあって提案を聞き入れてもらえるだろうか……という不安も若干ありました。しかし、あれこれ考えているだけでは何もはじまりません。思いつくままに「近いし、とりあえず行ってみるか」と小川和紙の職人さんに会いに行くことにしたんです。

 ユネスコの件で町全体が活気づいているものと思っていましたが、実際に小川町を訪ねてみると、予想に反して、どこかさびしい雰囲気です。和紙全体の需要が年々減少しているせいで生計を立てていくことが難しく、そのため後継者も少なくなり、高齢の職人さんが細々と和紙工房を営んでいる様子でした。

 そんななか家業を継いだ数少ない職人の一人である久保製紙5代目の久保孝正さんに提案してみたところ、「そういう用途ならたしかに和紙の新しい使い道があるかもしれませんね」と思いのほかすんなり理解してもらえたんです。将来に悲観的な和紙業界のなかで、30代という若い世代として業界を変えていこうと奮闘されている方たったのです。この出会いから、ありがとうポストは現実味をおびてきたんです。

このままじゃ日本の伝統があぶない!

 久保製紙では、ユネスコの無形文化遺産の記載についても、とても謙虚に捉えているようでした。それよりもまず産業としてなんとかしていかなければいけないと和紙業界の未来を真剣に考えていたんです。こうした地に足のついた職人気質の背景には、小川和紙が江戸時代から「庶民の紙」として親しまれ、その需要に応えることで発展してきたという歴史があります。

 実際に小川和紙ができるまでの製造工程を見せていただいたところ、ほとんどが手作業という想像以上に大変な仕事でした。そうした労を惜しまず、手ごろな値段で使いやすい庶民の紙を作ることに徹する。お礼状という身近な用途を考えたとき、あらためて小川和紙が私たちの試みにもっとも適した紙だと確信しました。

 また、小川和紙の業界は、その謙虚な職人気質ゆえに自ら企画して製品開発をするという発想があまり見られないようでした。このままでは伝統的な和紙が危うい……。どんな業界でも自ら需要を作り出していかなければやがては廃れかねません。ユネスコの無形文化遺産として注目するだけでなく、多くの人がもっと手軽に購入できるようにしなければ、産業として残っていかないものです。だからこそ、私たちのような別の業界から、これまでになかった用途を提案していくことも必要なことかもしれない。そう自分たちの役割を考えるようになっていきました。

伝統の職人技を身近に

 こうして、誰もが手軽に購入できるインターネットで、手間ひまかけて作られる日本伝統の和紙のお礼状サービスがスタートしました。試作品が出来たときは、手作りの素朴な温かみが感じられて、思わず笑みがこぼれました。こうした手ざわりはインターネットでは伝わらないものです。これならば受け取った人も粋に感じ、そこから新たな会話も生まれるはず。ありがとうポストを通して、送る人、受け取る人の距離が一層近くなることを願っています。

 昔ながらのお礼状という方法。昔ながらの小川和紙の技術。古き良き日本の伝統を私たちは、より便利に、より想いのこもったものにしていきたいと考えています。古風であることの新しさを、ぜひ一度、体験してみてください。

小川和紙をスマホから使える ありがとうポストはこちら

ありがとうポストで用いられている「小川和紙」のスペシャルコンテンツ。
その伝統と技術に深くフォーカスし、紐解いています。

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